教育ITソリューションEXPO(EDIX)行ってきました

ビックサイトでやってた教育ITソリューションEXPO行ってきました。

教育 x IT だとすごく領域が広いのですが、今の業界の雰囲気が見えて面白かったです。

 

教室運営系のシステム

いかに教室を運営するかのバックエンドのシステムもいっぱいありました。

リアルタイムでのリモートをサポートしたり電子黒板があったり。

確かにこれらを使えば、今までの単なるアナログより、より効率的に運営できそうです。必要になる規模になったら検討した方がいい。ただ、エンジニアな僕らは工数をかければ自分らで解決できちゃうとこが難しいんですが。。

 

 

キッズ向けの教材

マイクロソフトのブースではマインクラフトのセッション。

まだうちの子がマイクラにハマってない(やらせてないからという説もある)ので、イマイチ、ピンとこないんだよなー。

 

SONYのMESH。1デバイス1アクションみたいな感じで、これはこれで使いやすいと思う。

役割分担は凄くシンプル、一方で複数デバイス間の通信というのが、抽象度が高くて何歳からいけるかな、、

とはいえデザイン性といい、さすがだと思います。

 

 

すでにアルスクールで導入しているmicro:bit(スイッチエデュケーション社)のブースもありました!

ロボットサッカーやってます。

 

 

Bee-Bot。可愛いのか可愛くないのか、意見が分かれそう。

 

 

Z会さんは、レゴ®のリモートレッスン。保護者用ガイドが特徴的かな。

 

 

全体的に、すごい熱気があって、やはり盛り上がってる領域だなと強く思いました。ライバルという意味ではもちろん多いのですが、ある意味、同志、仲間でもある。保護者の立場で考えても嬉しいです。

 

なんというか、機能的、ロボット寄せな教材が多いなー。「XXできます!」的な。

もっと体験を売りにすればいいのにと思いました。

 

写真撮り忘れたので載せてませんが、Sheroが面白いなーと思いました。

イベント報告「21世紀型スキルを育むプログラミング教育の可能性」

“21世紀型スキルを育むプログラミング教育の可能性” というイベント(セッション)に、昨日行ってきました。

event20180515

東大の福武ホール。卒業してからの方が圧倒的にキャンパスに行ってるな。。未だに赤門を写真撮っちゃう。

 

いろんな実践事例がおもしろく、勉強になりました。

一方で、最近こういうのに色々参加させてもらってますが、現場同士のディスカッションの場があると嬉しい。

プログラミング教育をやっている皆さんは、競合というより、仲間として捉えたい。一緒にいいものを作っていきたい。

教室やられている皆様にお声がけしていこうかな。

 

 

なお、一番共感したスライドは下記です。

event20180515-2

 

アルスクールと非常に近しいです。

これ、子どもにとっては意外に難しいマインドセットです。大人にとってはもっと難しい。

例えば「たくさんしっぱいできるようになりました!!」が、ものすごい成長だと思います。これを主題にすればいいのになー。

 

創造性について考察する

プログラミング教育で得られるものというと、「論理的思考力」と「創造性」とよく言われている。

その創造性について考えてみたい。

 

創造性の定義はいったん置いておき。

プログラミング教育で創造性が身に付くのか?

僕はエンジニアといっぱい仕事をしている。プログラマーの多くが創造的だったかと言われると、NOと言わざるを得ない。むしろ、そうでない人のほうが多い。

ユニークなビジネスアイデア、企画を出す人は(もちろんエンジニアにもいるが)プロデューサーのような役割の人が多いし、エンジニア出身のスタートアップ経営者も相対的に(日本では)少ないと思う。

何より、僕はエンジニアだが、自分が創造的だとはまったく思わない。

 

プログラミングができると創造的でなくなる、と言っているわけではない。プログラミングができて創造的な人もたくさんいる。でも、プログラミングができることと、創造的であることに相関関係は見られない

 

仮に創造性を「アイデアをひらめくこと」だとすれば、プログラミングは、ひらめいたアイデアを具現化するプロセスである。創造性とは関係ない。

 

ではなぜ、プログラミング教育が創造性を育むと言われるのか?

新しいものを創るにはプログラミングが必要、だからプログラミングを学べば新しいものが創れる、すなわちプログラミングができるようになると創造性が身に付く、という論理の飛躍かな、と個人的には考えている。

 

なんとなく、創造性という言葉を、漠然と使っているのではないだろうか?

調べてみると、創造性という言葉は、ウィキペディアにもページがない(投稿時点)。

創造的な人として僕が真っ先に頭に浮かぶスティーブ・ジョブスは

創造性とは「なにかをつなげること」なんだ。

http://diamond.jp/articles/-/150351

と言ったらしい。

 

では創造性とは何なのか?創造的な人とはどんな人なのか?

 

僕が定義するならば、「新しいことをひらめいて」「それを実行に移せる(あるいは表現できる)」人は創造的な人だと思う。

 

じゃ、新しいことをひらめくにはどうしたらいいのか?

子どもに、何でもできるツールを渡しても、それで目新しいことはあまりやらない。むしろ、知っていることの半歩先の(あるいは半歩ズレた)ことをやる。

いきなりすごいことをひらめく天賦の才能を持った人もいるだろう。でも普通の人は、いろんな経験することでこそ、その半歩ズレた世界が広がっていき、ひらめくことが増えていくのだと思う。経験の延長にひらめきがあると思う。

そして、いろんな経験をどんどん体験するために必要なのは、「未知のことでも失敗を恐れずにとにかくやってみるマインド」と「ダメでも試行錯誤して解決しようとするマインド」だろう。

これは、ひらめいたことを「実行に移す」ために必要なものでもある。

 

つまり、(僕が定義する)創造的な人になるには(天才はおいておき)、

未知のことでも失敗を恐れずにとにかくやってみるマインド

ダメでも試行錯誤して解決しようとするマインド

を身につけるようにしたらいいのだ。

 

 

うん、これは、プログラミングの学びですごく大切なことであり、適切にプログラミングを学習すれば身に付きそうだ。

ただ、プログラミングができてもこれらのマインドが身に付いているとは限らない。単に論理的思考力が高いだけの人はできちゃうし、暗記が得意でパターン化された問題が解ける人でも、プログラミングはある程度できちゃうから。

 

つまり。

プログラミングを学ぶなかで(僕が定義する)創造性を育もうと思ったら、プログラミングができるようになることを目的化するのではなく

未知のことでも失敗を恐れずにとにかくやってみるマインド

ダメでも試行錯誤して解決しようとするマインド

を育むようなプロセスこそを大事にするべきだと思う。

 

他の子より進むことや作品の完成度を求めるのではなく、そのプロセスでどういうマインドを持っているか、それが伸ばせる環境を周りが用意しているか。

それことが大切なものなのだろう。

(そしてプロセスを大切にしていけば、すぐにではなくても、結局はアウトプットも自然と高まるはずだ)

 

プログラミング的思考とテクノロジーの感性

プログラミング教育とは、子供たちに、コンピュータに意図した処理を行うよう指示することができるということを体験させながら、将来どのような職業に就くとしても、時代を超えて普遍的に求められる力としての「プログラミング的思考」などを育むことであり、コーディングを覚えることが目的ではない。

–文部科学省 小学校段階におけるプログラミング教育の在り方について(議論の取りまとめ)http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/122/attach/1372525.htm

 

子どもへのプログラミング教育というと、「プログラミングのスキル(コーディングスキル)ではなくプログラミング的思考」という話がよく出てきます。

プログラミング的思考 は、ざっくりいうと、論理的思考の一部、みたいなもの、でいいかと思います。

 

それはすごく正しいと思っています。僕も、小さい子どもに、コーディングの細かいスキルを習得させることは重要ではなく、プログラミング的思考を伸ばすことの方が大切だと思います。

ただそうすると、アンプラグド(PCなどを使わない、紙などでのコンピューターサイエンスなどの学習)でもいいのでは?という疑問が出てきます。

コンピューターサイエンス、プログラミング的思考を伸ばすという目的では、そうかもしれません。もっといえば、別に将棋でも科学の実験でも、ツールはなんでもよい。

論理的に考えるとそのとおり、、なんですが、そのロジック展開に自分の中で違和感がありました。コンピューターと触れ合うことは必要ないのか、いやそんなことないのでは、、という違和感。それが最近、腑に落ちました。

 

 

それは、世界の広がりと感性 という軸でも考える事。

例えば外で子どもを遊ばせるときに、狭い公園より広い公園、もっといえば大自然の中で遊ばせられたらいいなと思いませんか?

音楽も、YouTubeやスマホ、CDで聞くだけじゃなくて、コンサートやライブを味わってほしくないですか?

スポーツも、プロのプレーを間近で見たくないですか?

何事も、もっと世界は広いんだよ、すごい体験いっぱいできるんだよ、って感じて欲しい。

 

コンピューターがあることで、できることが、世界がすごく広がるんですよね。プログラミングに限らず。

映画を作ったり、音楽を作ったり。写真を加工もできるし、キャラクターデザインなどもできる。ゲームも作れるし、世界中の人とネットでつながれる。

 

つまり、コンピューターを使うのと使わないのでは、世界の広がりがまったく違う。無限の広がりのなかで、知的好奇心を刺激し、感性を磨いてほしい。

これはアンプラグドでは達成できません。

 

プログラミングを正しく学べば、(プログラミングはコンピューターの可能性を広げているツールなので)分かりやすく、世界の広がりを感じられます。

ただ、別にプログラミングじゃなくてもいい。例えば動画編集のアプリだったり、作曲、編曲のツールだったり。3Dプリンターで遊ぶとかでもいい。

 

一方で、プログラミング学習で、子ども用の教材などで簡単にしすぎて可能性を狭め、「プログラミングってこんなものか」と、子どもが可能性を小さく感じて興味を失うことは避けないとダメ。プログラミング学習がまったくの逆効果になってしまう。

 

 

・プログラミング的思考を身につけること

・テクノロジーの無限の可能性を感じ、感性を磨くこと

 

この2つともが大事であり、かつこの2つは、相互依存せず独立している。

これを意識せず、なんとなく合わせて考えて、どっちつかずになって、両方共に効果が出ない(ときには悪影響を与える)、そんなことにならないようにしていくことが大切だと思います。

プログラミング学習は、うまくやれば、この2つともにとって、とてもいい教材の1つであることは確かです。

 

、、、ただ、もう1ついうと、これらの前に、ソフトスキル(非認知能力)もさらに大事だったりします。

諦めずに最後までやりぬける、失敗を恐れず行動できる、自発的に行動する、自己肯定感がある、などなど。

学習にショートカットはない

科学的センスは答えを知るときではなく、問いかけ、探求し、そして調査するときに身に付くものだと言うことです。

— パパート&フランツ, 1987  「作ることで学ぶ」 P38

小学生のキッズたちとプログラミング教室「ArSchool」をやって、5ヶ月程度。いろいろ学ばせてもらっています。

その中で痛感したのは、「学習にショートカットはない」ということ。また、答えを教えられても伸びず、「自身の体験を通じて」こそ成長するということ。

 

突然子どもたちができるようになることはあります。でもそれはショートカットしたのではなくて、日々連続的にじわじわ成長している中で、たまたまアウトプットが非連続的になっただけ。

急成長を求めて答えを教えても、それは遠回り。答えを与えられるのではなく、自ら考える体験、他者の体験や知識を咀嚼し自身のものとするプロセス、教材と戯れるプロセス、それらを通してでないと身に付かない、成長しない。

 

答えを教えることは、子どもを成長させることではない。(場面によっては、答えを教えることで、子どもの理解を助け成長を促すこともあります)

子どもなりに教材などと向き合い、戯れること、その時間を取ることが大事。

 

逆に、結果に一喜一憂することなく、各自のペースで、それぞれが必要としていることに取り組めば、絶対に伸びます。アウトプットはすぐに出ないかも知れないけど、確実に伸びています。子どもの成長は、本当にすごいです。

 

 

 思えば、社会人やインターンでも、優秀なエンジニア、スキルがぐんと伸びる人は、例えばプログラミングの本やWEBのカリキュラムのお題を与えて勉強するにしても、

・書いてあることをそのとおりにやって、すごく順調に、「できました!」となる人

・書いてあることをやりつつ、知的好奇心に任せ、「この場合はどうなるんだろ?」とチャレンジする人(だいたいそういう人は、「すいません、、動かなくなりました」って聞いてくるけど)

だと、後者の方がむちゃくちゃ伸びてますね。教材の正解をトレースするのではなく、プログラミングと戯れ、それを自己の体験として再構築できる人。